<概要> |
国際的ニュータウンとして作られたが、今では寂れてしまった人工島。
そこに引っ越してきた槙野慶吾・もみじの親子だったが、その島には夜中に「首刈り女」が出没するという噂があった。
「首刈り女」の都市伝説を巡り、今静かに物語が動き出す。 |
<シナリオ> |
9 |
「無くしてしまった大切な物を取り戻す」ことをメインテーマに展開する、ホラー系サスペンスです。
生と死、人の絆、贖罪といった深い題材になりますので、コミカルな部分はほとんど出てこない落ち着いたストーリーになります。
全3章の構成。
2人の主人公はもちろん、様々なキャラの視点が入り、物語に深みを持たせていきます。
1章は各キャラルート。2章で過去編となり、3章でトゥルーエンドへと進んでいくという流れです。
複数の視点で物語が見れるのは深みを持たせられますが、感情移入という面においてはマイナスに働くので、そこは好みが分かれるところでしょうか。
1章では2人の主人公の視点から事件を見ながら、それぞれの担当するヒロインと仲良くなることが中心。
しかし萌え要素はほとんど無く、事件に巻き込まれながら徐々に絆を深め合っていく、というストーリーになります。
マルチサイトながら、ほとんど主人公同士やヒロイン達が交わることは無いのは残念でした。
2章は事件の発端となった過去の真相を描いていきます。
なぜ事件は起こったのか。その要因や犯人の動機といった背景が、別の2人の視点を中心に描かれます。
このあたりから徐々に芯のしっかりしたサスペンス風味になっていきます。
3章は集大成。1章の事件をもう一度繰り返します。
基本は同じ事件ですが、より全キャラが深く事件に関わってくるようになっています。
すでに事件の流れや背景が分かっている状況で、各キャラの心情を描いていく形で進みますので、シナリオが読みやすく、すぐに入り込めるつくりになっています。
ラストはこれまでの流れや伏線をうまくまとめた、とても綺麗で感動的なストーリーでした。
誤字脱字はほとんど気になりませんでした。 |
<キャラ> |
7 |
秋月 暮葉(あきづきくれは) CV:北都南 |
ニュータウンに出没するという「首刈り女」その人。
槙野の亡き妻にそっくりな容姿を持っています。
物語の中心に位置するメインヒロイン。
ある理由から、毎夜首を刈る獲物を探しています。
クールな性格であまり感情を表に出しません。
しかしそれも理由があり、その原因になる事件の前は良く笑うかわいらしい少女でした。
エロとかそういうのは求めてはいけません。
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羽鳥 真帆子(はとりまほこ) CV:まきいづみ |
三沢の幼馴染でぽんこつ。
旧ねこねこソフト伝統の天然キャラを担当しています。
ポンコツ要素はやや低め。
しゃべり方や空気の読めなさっぷりはありますが、見せ場も作れる意外としっかりしたキャラです。
おそらく一番萌え要素が高いキャラなんでしょうが、いかんせんシナリオの都合上、萌えてる暇はほとんどありません。
全体を通して一番かわいそうなキャラかも…。
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槙野もみじ(まきのもみじ) CV:北都南 |
槙野の一人娘。
幼い割りにしっかりしているが、お父さんには甘えんぼ。
このゲームの萌え要素を一手に引き受けている異常な可愛さを持つキャラです。
笑顔を絶やさず、人見知りしない娘でしっかりものです。
でも、主人公には甘えてくるのでそこがまた可愛い…。
特定ルートはありませんが、サブというにはあまりにも存在の大きなキャラです。
事件の中でも、鍵の一つとして描かれています。
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春日井 詩菜(かすがいしいな) CV:芝原のぞみ |
三沢の後輩のクールなちびっ子。
真帆子とは仲良しですが、三沢には辛辣な態度を取る、いわゆるツンデレですね。
真帆子が大好きなため、彼女と仲のいい三沢を嫌っています。
デレに移行した後もそれほど激しくはなく、あくまでクールなツンデレのスタンスを貫く娘です。
1章では三沢担当。
最も、というか唯一というか、三沢が活躍するルートです。
自ルート以外ではほとんど出番のない反動?か、一番スッキリするいいシナリオでした。
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吉森 麻咲(よしもりまさき) CV:羽沢月乃 |
槙野のおとなりさん。
三沢や真帆子のクラスの委員長でもあります。
面倒見のいい姉御肌。
見ていてすがすがしいです。
下手に行動力もあるため、いろいろと苦労もします。
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汐見 悠絵(しおみゆえ) CV:松田理沙 |
汐見の妹。
彼女に関しては簡単な説明でもネタバレ要素を含んでいます。
出来るだけそういった要素を出さないようにしていますが、一応隠します。
(反転)
2章で登場するヒロイン。
犯人の動機という面から物語に関わってくる。
ややおとなしく、家庭的。
好きな人には一途で、感情が抑えきれなくなる傾向あり。
(反転終了)
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サブキャラ |
主人公とヒロイン以外で登場するキャラがほとんどいません。
そんな中、強烈なインパクトを残したのが八島さん。
雑誌の記者としていろいろ嗅ぎ回りますが、基本的に余計なことしかしていません。
そんな空回りっぷりとサバサバした性格は、好みが分かれるところだろうと思います。
「ヤシマだからね、ヤ・シ・マ。ヤジマじゃないのよ。そこんとこヨロシク」 |
<主人公> |
6 |
すべて合わせると4人いる主人公。
1章の2人の主人公は「事件に遭遇して混乱する」というのを基本的スタンスにしているヘタレです。
もう2人の方は、もう少ししっかりしています。
しかし、性格の捻じ曲がった男とおじいさんが主人公というのはどうかと…。
いや、キャラとしてはいいんですけどね。 |
<絵> |
8 |
高いレベルで安定しています。
作風上、暗めの絵が多いですが、雰囲気によくマッチしていました。
ホラー系サスペンスですが、血の描写はほとんどありませんでした。
CGは78枚。すこし少な目といった感じです。 |
<音楽> |
9 |
OP、ED共にかなりいい曲です。
OPはいい雰囲気を持った歌。
作風とも合っていて、これから物語が始まるという気分にさせてくれます。
EDはしっとりとした曲。
感動的なラストの余韻を楽しませてくれる、こちらもいい曲です。
BGMも高いレベルで安定。
これというものはなくても、よかったという印象だけは残っているという感じです。 |
<システム> |
9 |
基本的な機能はすべて確保。
選択済み選択肢の色変換の有無や、各キャラごとのボイス設定などプラスアルファもありました。
中でも、各キャラが何をしていたかを見れる年表機能はなかなか便利でした。
セーブ数は90箇所+クイックセーブ1箇所。
セーブ日時の他、シーン画像とメッセージの一部が保存されます。
量的には十分だと思います。 |
<総合> |
74 |
序盤は主人公達のヘタレっぷりと流れのチグハグさ加減にかなりイライラし、挫折寸前になりました。
しかし2章以降、物語が進むにつれて引き込まれていきました。
1章の二人の主人公は、あくまで登場人物の一人としてみた方がしっくりくるかもしれません。
このゲームはどうジャンル分けするかで評価が変わる気がします。
萌えはもちろん、犯人を追うサスペンスや血みどろのホラーを描くのではなく、各キャラの心情や繋がりを綺麗なストーリーで描いています。
感情移入しづらいため序盤は苦しいですが、最後までやればよさが分かる作品です。
(以下ネタバレ)
これはあくまで、汐見を主人公とした作品に思えます。
その裏で、上条と暮葉の物語があるとみれば、とてもスムーズに接することが出来るのではないでしょうか。
いくらなんでも、槙野と三沢は弱すぎました。
考え事して車に(しかも無関係の)轢かれる主人公って…。
(ネタバレおわり) |
<お気に入りキャラ> |
汐見悠絵
お気に入りキャラを選ぶのがそもそも違う気もしますが、あえていうなら。
相手はともかく、一途に思うところは可愛かったです。 |